2024.10.09

独立M&Aアドバイザーキャリアの捉え方

さて、今回はM&Aアドバイザーのキャリアについて。

M&A(合併・買収)アドバイザーとしてのキャリアは、会社員として働くか、フリーランスとして独立するかによって大きく異なります。近年、フリーランスとして活動するM&Aアドバイザーも増えてきており、そのメリット・デメリットについて理解することは非常に重要です。本記事では、M&Aアドバイザーのキャリアをどのように捉え、フリーランスの働き方がどのようなものかを考察します。

フリーランスとして働くメリット

1つ目は、事務作業や社内調整業務から解放されることです。M&Aアドバイザーの仕事は、成約に向けた調整業務や営業活動が中心であり、これに集中することで、より多くの案件をこなせるようになります。特に会社に所属している場合、メンバーの育成や社内の管理業務に時間を割かれることが多いため、フリーランスであればその分、自分の得意な営業や交渉に注力できるのです。

2つ目は、手取りが増えるという点です。会社に所属している場合、M&Aの成約に対する報酬の多くが会社に取られてしまいます。通常、アドバイザーが得られる手数料は10~20%程度に過ぎませんが、フリーランスであれば自分で手数料を設定できるため、取引ごとに得られる報酬が大幅に増えます。例えば、フリーランスでは仲介手数料の70%を自分で受け取ることができるため、1件の成約だけで大きな収入を得ることが可能です。

3つ目は、自由な働き方ができることです。フリーランスであれば、自分のペースで案件をこなし、ライフスタイルに合わせて仕事を調整することができます。あるアドバイザーは、年間1件の大きな案件を成約させるだけで、その後はゴルフを楽しむ生活を送ることができると言います。中には、1件の成約で数年分の生活費を稼ぎ、その後数年間を自由に過ごす人もいるほどです。

フリーランスとして働くデメリット

一方で、フリーランスとして活動するには、いくつかのハードルもあります。

1つ目は、リードタイムの長さです。M&Aの案件は、不動産取引などと比較して成約までに時間がかかることが多く、半年から1年以上かかることもあります。その間、収入がない期間が続くため、経済的な不安定さが伴います。フリーランスで成功するためには、案件成約までの期間を耐えられるだけの資金計画が必要です。

2つ目は、営業活動の難しさです。フリーランスとして独立する場合、会社の名前を使って営業することができないため、自分自身のネットワークや紹介に頼る必要があります。ソーシング(案件の発掘)や営業活動を自分で行うことができるだけのネットワークを構築するまでには時間がかかり、独立直後は案件が少ない時期が続く可能性があります。

3つ目は、リソースの不足です。会社に所属していると、データベースや分析ツール、マーケティングリソースなどが利用できますが、フリーランスではこれらを自分で手配する必要があります。例えば、企業情報を得るために東京商工リサーチや帝国データバンクのデータベースを利用するには、年間数千万円の費用がかかる場合もあります。そのため、リソース不足をどのように補うかが課題となります。

こうした課題に対して、最近ではフリーランスのM&Aアドバイザーを支援するサービスも登場しています。例えば、弊社の「MAgnet」というサービスは、フリーランスのアドバイザーが必要なデータベースやリソースを提供し、案件獲得を支援する仕組みを持っています。こうしたサポートを活用することで、フリーランスの課題を解消し、より効率的に案件を成約させることが可能となります。

まとめると、M&Aアドバイザーとしてフリーランスで働くことには大きなメリットがありますが、その一方でリードタイムの長さや営業活動の難しさといったデメリットも存在します。しかし、フリーランス向けのサポートサービスを活用し、ネットワークを広げることで、成功する可能性は大いにあります。M&Aアドバイザーとしてのキャリアをどのように築くかは、個々のライフスタイルや価値観に大きく依存するため、自分に合った働き方を選ぶことが重要です。